2011年05月07日

食肉卸業者と焼き肉チェーン店、そして厚生労働省の責任

前の二つの記事に続いて再々の話題になるけれども、病原性大腸菌O111による食中毒の話題。

O111にしてもO157にしても感染力が強いので、ごく少量の菌を食べてしまっても感染しうる。

引き起こされるのは腸管出血、それのみならず溶血性尿毒症症候群という致死的な疾患。

でも、細菌が腸管内で繁殖すること、あるいは産生されたタンパク毒素を大量に摂取して発症することを考えると、汚染された食物であっても十分に加熱調理して食べれば問題ないわけだ。

問題は、加熱調理しないユッケの感染対策をないがしろにして客に提供したことだ。

以下はYahoo!のニュースから

生食用と知りながら、加熱用と同じ包丁使い回し

読売新聞 5月7日(土)14時33分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110507-00000425-yom-soci

 焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」の客4人が腸管出血性大腸菌「O(オー)111」などで死亡した集団食中毒事件で、肉を納入した「大和屋商店」(東京・板橋区)が生食用として提供されると知りながら加熱用の肉と同じ作業場で加工し、まな板や包丁を使い回していたことが、板橋区保健所などへの取材でわかった。

 厚生労働省の衛生基準では、生食用の肉の加工は加熱用と明確に分け、専用まな板や包丁などを使用するとしている。

 また、富山、福井、神奈川の3県警と警視庁は7日、合同捜査本部を設置した。

 板橋区保健所によると、4月28、30日、大和屋に立ち入り調査したところ、作業場で牛肉は、生食用も加熱用も同じ加工台で処理されていた。大和屋は保健所に「加熱用の肉しか扱っていない」と説明していた。

ここまでYahoo!ニュース


最終的に客に提供した焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の衛生概念の不足はまちがいない。

生食で肉を提供する場合には調理の段階で表面を削り落すなどの加工が必要であるとされていることを、知らなかったわけではない。

加工業者にその処理をしてもらっているからうちでやる必要はない、というのは「経営効率重視の安全軽視の典型」としか思えない。


食肉を卸販売していた「大和屋商店」(東京・板橋区)の罪も重い。(もっとも重いかもしれない)

生食用として提供されると知りながら、加熱用の肉と加工場も道具も変えていない、そのまま生で食べたら食中毒を起こす危険性があるとわかっていながら作業を進め、それを焼き肉屋に「生食向け」と口頭で伝えて販売していた。

その一方で保健所には「生食肉」の調理をしているとは届け出ていない。


そして監督官庁の厚生労働省。

生肉を食べることの危険性の周知徹底と管理責任をどうするかということをうやむやにして放置してきたと言われてもしょうがない。

かつて、焼き肉が長年にわたって肉を取り扱ってきた業者の間でのみ販売される特殊な食べ物であったうちは良かった(みんなが知っているような老舗の焼き肉屋でO111やO157に集団感染したなんて話は聞いた記憶がない。)。

でも、規制緩和で新たな人々が参入してきたことで「知識も責任感も不十分な素人の」経営者が焼き肉屋運営に参戦してきてしまったわけである。


そこに「安くてうまいものを提供する店もあってあたりまえ」という我々消費者のモンスターニーズ。

ただし、消費者には知識と責任は前の三者ほどには求められるべきではない。


結局は全てを統括する厚生労働省がきちんと規制をかけるべきだったのだ。

肉の生食販売はふぐ料理と同等のライセンスや罰則を設けて許可するようにすべき、そうしないとこの悲劇はなくならないだろう。


ということで、お店で生食はライセンス後に再開、それまで凍結でいいんじゃないかと思う。




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