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2010年12月29日

人類や社会というくくりでは家族の形はなんでもありだろうけど

日本という国はすごく良く整った国で、裏を返せば決まり事を外れると暮らしにくい国でもある。

日本に暮らすには日本型の社会構成、家族構成、常識や倫理観が最優先される。個人の自由はその次、というのが建前。

その封建的な仕組みが日本という国を強くしてきたんだと思う。

そしてそれは狭い国土にひしめいて過ごす上で必要な仕組みでもあり、正しいとか正しくないか論じるべきものではないと思う。

外国もそう。

外国の家族観や倫理概念はその国の歴史の中で出来上がってきたもので、われわれがとやかく言う問題ではない。

とはいうものの、やっぱりこれには驚いた(笑)。


E・ジョンさんと男性パートナーに息子誕生=米で代理母が出産

時事通信 12月29日(水)0時6分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101229-00000001-jij-ent

【ロサンゼルス28日AFP=時事】英人気歌手のエルトン・ジョンさん(63)と男性パートナーのデービッド・ファニッシュさん(48)が、米カリフォルニア州で代理母が出産した男の赤ちゃんの両親になった。USマガジン(電子版)が伝えた。
 赤ちゃんは25日に誕生。体重3500グラムで健康といい、「ザカリー」君と名付けられた。ジョンさんとファニッシュさんは声明で「この特別な瞬間を迎え、幸福と喜びに圧倒された気分。両親になれたことを誇りに思い、幸せを感じている」と表明した。
 ジョンさんとファニッシュさんは12年間の交際を経て2005年に同性婚した。ジョンさんは昨年、訪問先のウクライナの孤児院で出会った生後14カ月の男児を養子に迎えようとしたが、法律によって阻まれていた。
 ジョンさんらに息子が誕生したことについて、友人でモデル・女優のエリザベス・ハーレーさんは、「素敵な息子さんができたデービッドとエルトンを盛大に祝福します。(赤ちゃんを)抱き締めるのが待ち切れないわ」と簡易ブログ「ツイッター」につづった。


代理母の問題はいろんな立場の人のそれぞれの考え方や価値観に照らし合わせると様々なとられ方をする。

他人の赤ちゃんを産んであげるなんて、生物学的におかしいと感じる人たちの気持ちはわからないでもない。


でも、代理母を生物学的におかしいと考えるのであれば、輸血で命を救うこともまたおかしいと考えるべき。

さらに言えば、薬草を煎じて飲むなどの自然療法以外の医療もすべて生物学的におかしいと考えるべきで。

もっともっと生物学的に言えば、薬草を煎じる行為自体、人工的なものだから否定されるべきである。


極論、生物として云々をあげ連ねるのであれば、その人たちは文明を捨ててチンパンジーと同等の生活をするべきじゃないかと。

そこまでの覚悟があるとは思えず。


・・・そう言う考え方の私にしても、赤ちゃんが男同士の夫婦の子どもとして生まれてくると言うのには抵抗感があるな。

養子縁組なら問題ないと思うんだけど、それが拒否されたから代理母に産んでもらうって、なんか、変。

この子の両親としての適性がないとは思わないし、幸せになれるだろうとは思うけどね。


いつか、本当の「生物学的な両親(子宮ではなくて、精子と卵子の提供者、つまり遺伝子上の)」のことをこの子が知りたいと思った時に、どう伝えてあげるのだろうか?

匿名であっても、何人で、どの辺に住んでいて、どんな仕事をしていて、みたいなことは知りたいと思うのだけれども、それは知れるシステムなんだろうか??
  


Posted by norihiro at 13:46Comments(0)医療と倫理

2010年12月28日

妊娠高血圧(子癇前症)の実験モデル作成と治療の報告

妊娠高血圧(PIH; Pregnancy Induced Hypertension)の実験モデル作成と治療の報告


妊娠高血圧とは妊娠中毒症と呼ばれていたもので、妊娠中に血圧が正常域を超えて高くなってしまうケースを指します。

収縮期と拡張期の血圧が140/90mmHgを超えるものを高血圧と考えます。

かつての妊娠中毒症の診断基準に使われていたのは「浮腫、タンパク尿、高血圧」だったのですが、その後、高血圧がこの病気の本態であり、それをコントロールすることこそが重要であると考えられるようになりました。

それで妊娠中毒症という呼び方は最近はほとんどしません。


妊娠高血圧と診断される妊婦さんは現在の日本でも数%いらっしゃいますが、かつてはもっとたくさんありました。

それが生活レベルが上昇し、生活習慣が改善するとともに妊娠中毒症は数が減ってきました。

塩分摂取量が影響するだけでなく、妊婦の栄養状態がこの疾患群の発症に大きく影響することがこれらのことから明らかでした。


妊娠高血圧症候群を治療=マウスで実験、スタチン投与―大阪大

時事通信 12月28日(火)5時45分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101228-00000010-jij-soci

 妊娠高血圧症候群のマウスにスタチンを投与し病状を改善させることに、大阪大の伊川正人准教授らの研究チームが成功した。妊婦へのスタチン投与は危険性が指摘されており、そのままは使えないが、同准教授は「安全な新薬開発につながる可能性がある」としている。
 成果は28日、米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。
 伊川准教授によると、妊娠高血圧症候群は妊婦の7~10%に発症し、胎盤形成の異常につながる。重症化すると胎児の成長が妨げられ、肝機能障害などを併発する。


妊娠高血圧は子癇前症(Preeclampsia)とも呼ばれます。

子癇というのは出産前後にものすごい高血圧とともに神経症状(意識消失やけいれん、脳出血などによる)を呈する疾患のことです。

これはほとんどの場合、妊娠高血圧のある妊婦さんで発症することから、妊娠高血圧は命に関わる疾患の予兆として今でも非常に注意されるべき症候群なのです。


また、妊娠時高血圧の患者さんでは胎盤の発育が悪く、胎児のサイズも非常に小さくなることが多いのが特徴です。

このため、お母さん自身の高血圧がコントロールできなくなって早めの帝王切開をした後で、赤ちゃんが未熟地治療施設から出てくるのにはけっこう時間がかかります。

(と言っても小さいだけで合併症はないことが多いのですけどね)


このような妊娠高血圧、子癇前症がどうして起こるのか、塩分とか栄養状態が関係することはわかっても、この病気が起こるメカニズムは分子レベル、細胞レベルではよくわかりませんでした。

それは適切な実験動物モデルがなかったからです。

このスタチン投与実験がうまく行ったのも、妊娠高血圧の実験モデルをうまく作りだせたことが全てと言っていいのではないかと思います。


時事通信の記事の続き

 実験では、胚を取り出し胎盤の血管作製を阻害する遺伝子を導入して、再び体内に戻す方法で作った妊娠高血圧症候群のマウスを使用。正常なマウスと比較したところ、血圧は上下とも20ずつ上がり、妊娠20日目に出産した子供の体重は通常より15%軽くなった。
 次に妊娠7日目と10日目の高血圧症候群マウスにそれぞれ1日5マイクログラムのスタチンを投与。出産まで投与し続けると、血圧は正常値に回復し、生まれた子供の体重も正常なマウスと同じだったという。 


このニュースだけを見ても、具体的に何がどう働いてスタチンが妊娠高血圧の治療に有用なのかがさっぱりわかりません。

そこで、米科学アカデミー紀要電子版の該当ページを見てみました。

以下に論文タイトルや著者(一部)とAbstractをコピペします。


Pravastatin induces placental growth factor (PGF) and ameliorates preeclampsia in a mouse model

1. Keiichi Kumasawa, 2. Masahito Ikawaa,・・・9. Masaru Okabe

Abstract

Preeclampsia is a relatively common pregnancy-related disorder. Both maternal and fetal lives will be endangered if it proceeds unabated. Recently, the placenta-derived anti-angiogenic factors, such as soluble fms-like tyrosine kinase-1 (sFLT1) and soluble endoglin (sENG), have attracted attention in the progression of preeclampsia. Here, we established a unique experimental model to test the role of sFLT1 in preeclampsia using a lentiviral vector-mediated placenta-specific expression system. The model mice showed hypertension and proteinuria during pregnancy, and the symptoms regressed after parturition. Intrauterine growth restriction was also observed. We further showed that pravastatin induced the VEGF-like angiogenic factor placental growth factor (PGF) and ameliorated the symptoms. We conclude that our experimental preeclamptic murine model phenocopies the human case, and the model identifies low-dose statins and PGF as candidates for preeclampsia treatment.


日本語でこのAbstarctを簡単に翻訳すると以下の通りです。

タイトル

プラバスタチンはPGF(胎盤成長因子)発現を誘導し、マウスモデルでの子癇前症を改善する。

要約

子癇前症は比較的よくある妊娠合併症で、放置すれば妊婦と胎児に重大な影響を及ぼします。
最近の研究では、soluble fms-like tyrosine kinase-1 (sFLT1) や soluble endoglin (sENG)のような血管形成阻害因子の発現が子癇前症発症と関連することが示唆されています。
このことから、マウス授精胚にレンチウイルスを使ってsFLT1を胎盤特異的に発現させたところ、胎児発育の低下と血圧上昇、タンパク尿を伴う妊娠高血圧モデルが作製できました。

このモデルに妊娠中にプラバスタチンを投与したところ、妊娠高血圧が予防できて、胎児発育も改善しました。
これはプラバスタチンによりplacental growth factor (PGF)が発現誘導されたためであることを示します。
この実験モデルは子癇前症の良い実験モデルであり、プラバスタチンとPGFが子癇前症の治療薬の候補となることを示しています。


・・・ともかく、この実験モデルができたことが大きいですね。

これをLentivirusとかではなくて薬剤誘導で胎盤特異的に発現するトランスジェニックモデルにするなどして、何とかして安定供給できるようにしてもらえると嬉しいですね。

そうなればさらにいろいろ実験し易くなるでしょう。


・・・論文本体も読んでみました。

授精胚にLentivirusを感染させることでのみ、胎盤特異的に遺伝子発現を誘導できる、ということのようです。

そこが画期的だったのですね、そして胎盤特異的なプロモーターというのはまだ誰も手にできていないようです。

ニュース記事だけでも、Abstractだけでもダメですね、事実は細部まで確認しなくては。。。  


Posted by norihiro at 15:42Comments(0)科学研究を医療に

2010年12月28日

子宮頸がんワクチンの副作用で失神?えええ~!?

子宮頸がんワクチンの副作用で失神のタイトルにびっくり。

読んでみてその内容にまたびっくりした。

あたかも子宮頸がんワクチンそのものに重篤な副作用があるかのようなこの記事タイトルなのだか、中身は違う。

読売新聞としては人目を引いて売り上げを上げたいのかもしれないが、とんでもない言いがかりともとれる。

だって、この記事、よく読めば筋肉注射に慣れていない現代の小学六年生が痛みにへこたれてるだけの話であって、子宮頸がんワクチンに特異的な問題ではないのだから。


子宮頸がんワクチンで副作用、失神多発

読売新聞 12月28日(火)3時2分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101227-00001223-yom-sci

 子宮頸(けい)がんワクチンの副作用として、気を失う例の多いことが、厚生労働省の調査でわかった。

 接種者の大半が思春期の女子で、このワクチン特有の強い痛みにショックを受け、自律神経のバランスが崩れるのが原因とみられる。転倒して負傷した例もあるという。同省は「痛みを知ったうえで接種を受け、30分程度は医療機関にとどまって様子を見るなど、注意してほしい」と呼びかけている。

 子宮頸がんワクチンは、肩近くの筋肉に注射するため、皮下注射をする他の感染症の予防接種より痛みが強い。昨年12月以降、推計40万人が接種を受けたが、10月末現在の副作用の報告は81人。最も多いのが失神・意識消失の21件で、失神寸前の状態になった例も2件あった。その他は発熱(11件)、注射した部分の痛み(9件)、頭痛(7件)などだった。


昭和の時代なら予防接種は筋肉注射が当たり前であったし、現代でも日本以外の多くの国では筋肉注射が当たり前である。

それが日本では皮下注射になったのは、痛くないことと、まれに起こる副作用の筋委縮に対してマスコミが反筋肉注射のアジテーションを行ったためである。

皮下注射よりも筋肉注射の方が免疫反応は強いとわかっているにもかかわらず、日本の医療が予防注射を皮下注射主体に変更したことは諸外国の予防医学者からは冷笑されている。


昭和の時代であれば幼児の頃から筋肉注射は受けていた。

小さな子の方が痛みからくる心因性のショックに対しては強いし、経験から痛みへの恐怖も薄れていたはずである。

だが、小学六年生で始めて筋肉注射を受けた今時の女子児童は痛みに慣れていなくてくらくらする。


あいかわらず、新聞は目を引くための記事を書いて医療を崩壊させていないか?

せっかく、高い確率で女性を子宮頸がんの恐怖から救ってくれる可能性のある子宮頸がんワクチンの普及が、こんな恣意的な内容を見誤った記事で妨げられることを危惧する。
  


Posted by norihiro at 08:55Comments(2)感染症

2010年12月27日

インフルエンザの流行が本格化、どう考えるべきか。

インフルエンザの流行が本格化してきました。(2010年12月末の情報です)


今週は2010年の最後の週ですね。

今日、27日から休みの職場も多いと思いますし、先週後半から残務整理に明け暮れているところもあるでしょう。

いずれにせよ、急激に寒くなったなかでのお仕事に家庭サービスにお疲れ様でございます。


今年は一年を通じて気候の変動が激しい年でしたね。

今月も18度前後と11月上旬のような暖かさと10度以下という1月下旬のような寒さとの間で大きく気候が揺れて、対象を崩している人が多いと思います。

かく言う私も頭痛と鼻水を抱えながらの通勤で、ウイルスをばらまきながら申し訳ないと思いつつ、満員電車に揺られています。


この危険な状況の中、インフルエンザの定点観測結果から、流行が本格化してきたことがわかりました。


インフルエンザ流行入り 新型→妊婦・子供 季節性→高齢者

産経新聞 12月27日(月)7時57分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101227-00000107-san-soci

 ■「すべての年齢層で注意を」

 今季のインフルエンザが流行入りを迎えた。昨シーズンの流行は新型一色だったが、今季は季節性と新型が混在した形で流行しそうだ。新型では妊婦や子供の重症化に注意が必要だったが、季節性インフルでは高齢者にハイリスクとなる。厚労省も「今年は、すべての年齢層で注意が必要」と呼びかけている。

 ▼集団感染に警鐘

 国立感染症研究所によると、現在、最も流行しているのが季節性インフルの「A香港型」というタイプ。これまで検出された63%がこのウイルスだ。

 北里大医学部の和田耕治講師は「A香港型は高齢者で重症化することが多く、高齢者施設などは集団感染に注意が必要」と話す。11月にも秋田県の病院で50人以上が集団感染し8人が死亡する事案が発生している。このまま「A香港型」が流行すれば、平成18年以来4年ぶりの本格的な流行となり、厚労省は「大きな流行になる可能性もある」と注意を呼びかける。

 参考リンク

 ⇒インフルエンザの知識とインフルエンザへの対処


 ▼従来にない特徴

 一方、昨シーズン流行した新型インフルにも依然、注意は必要だ。毒性こそ低かったが、子供が感染後に肺炎や脳症を発症し、救急搬送されるケースが多発。海外では妊婦の死亡例が相次ぐなど、従来の季節性にはみられない特徴を持っていた。

 現在検出されている34%が新型で、国立感染症研究所感染症情報センターの安井良則主任研究官は「診察では『A香港型』か新型かまでは識別できない。家に帰ってから、容体が急変するようなことがあったらすぐに医療機関に連れていくことが大切」と話す。

参考リンク

 ⇒新型インフルエンザの知識と対策



つまり、同じインフルエンザの感染と言っても、タイプが異なるものが二種類流行っているので、それぞれに対応して、別の病気と考えて対処する必要があると言うことです。

A香港型に関して言えば、去年を除いてほぼ毎年のように流行するウイルスなので、多くの人がある程度機能する免疫を持っているものです。

でも、高齢者が危険なのは、免疫機能が落ちていることと、身体の予備能(HP値と思ってください)がもともと少ないことが理由です。

A香港型に感染した予備能の少ない人が命を落とす、これは毎年のことなので、毎年気配りが必要です。

(むしろ新型ばっかりだった昨年など、高齢者にとってはよい年だったかもしれません。)


新型と妊婦の関係については、日本はあまり当てはまらないんですが、これはタミフルやリレンザの普及率がものすごく高いことと関係すると思います。

日本人はすぐに病院に行ってそれらの薬の処方を希望していましたからね。


タミフルの使い過ぎで、耐性ウイルスが日本から出るんじゃないかと諸外国から危惧されていましたが、タミフル耐性ウイルスが出現したのは北部ヨーロッパからでした。

なかなか理屈通りには進まないからこそ伝染病は広がるのかも知れませんが、奇妙なことでした。

でも、やはり耐性ウイルスの出現は恐れるべきことですが・・・


 ▼新薬も登場

 対策として最も有効なのがワクチンだ。昨年は接種時期にワクチン供給が間に合わず混乱したが、今年は約5800万人分が用意されており、厚労省も「十分な量が確保できた」としている。今季のワクチンには、季節性と新型の両タイプが入っており、1回の接種で両方が予防できる。

 明るい話題は、新たな治療薬の登場だ。これまで「タミフル」と「リレンザ」という2種類しかなかったが、今年に入って塩野義製薬の「ラピアクタ」と第一三共の「イナビル」が承認され、使えるようになった。

 「タミフル」や「リレンザ」は1日2回、5日間服用する必要があったが、今年登場した2つの薬は1回の投薬で効果が得られる。特に「ラピアクタ」は点滴で投与するタイプで、薬が飲み込めない高齢者などにも使える。

 厚労省感染症情報管理室の中嶋建介室長は「ワクチンを早めに接種して、手洗いやうがい、マスクなど基本的な感染症対策を行ってほしい」と呼びかけている。


明るい話題ではありますね。

なんだか抗生剤と耐性細菌のいたちごっこにも似ています。

抗インフルエンザ薬の作用点はどれもけっこう似ていますから、攻勢剤でMRSAやVREのような多剤耐性の強烈なウイルスも出現しないとは限りません。

最強最悪のアシネトバクターの様なものはそう簡単に出てこない・・・と思いたいです。


ともかく、最終的には日ごろから身体を鍛えて摂生に努めて、免疫力と予備能とを高めておくことが重要です。
  


Posted by norihiro at 11:52Comments(0)感染症

2010年12月25日

小児への心臓移植にこわごわ足を進める日本の移植医療


心臓移植の恩恵にあずかるべき先天性小児心臓疾患患者のほとんどが、現実には日本国内での移植を期待できない。

重症化すれば海外での心臓移植を余儀なくされているのが日本の心臓移植の現状だ。

海外では30年以上にわたって移植手術が行われてきたこの分野で、ようやく少しずつその門戸が広がろうとしている。


ニュースの記述内容がどうもわかりにくいが、わかりやすく書くとこうである。

現在、日本で心臓移植手術を許可されているのは9つの病院で、ただし、15歳未満の心臓移植手術が可能なのは東大病院などの全国でたった3つの病院だけとされていた。

その年齢制限を、11歳未満にまで切り下げる。それだけのこと。


つまり、心臓移植可能な施設が9つの施設であることは変更しないが、11歳未満の患者への心臓移植は3つの施設のみ、東大病院、阪大病院、国立循環器病研究センターのみで可能としたわけだ。

患者にとってよいことではある。


11歳以上の心臓移植、全施設で可能に 移植関係学会合同委が発表

産経新聞 12月24日(金)23時2分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101224-00000629-san-soci
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/health/478014/

 移植関係学会合同委員会は24日、これまで「15歳未満」への心臓移植が可能としていた東京大病院など3施設の対象年齢を「11歳未満」に引き下げると発表した。15歳以上に心臓移植できる施設は東大病院など3施設を含め計9施設あるが、今後はいずれの施設でも11歳以上の患者への心臓移植が可能になる。

 移植施設をめぐっては、臓器移植法改正にあたって同委員会が15歳未満の心臓移植を3施設に限定。しかし、日本小児循環器学会が「技術的に問題ない」として、年齢設定を引き下げるよう要請していた。


海外の心臓移植手術に比べれば、周回遅れどころか、20年も30年も後塵を拝していた日本の心臓移植。

しかし、日本の心臓移植手術はスタートしたときは世界で30例目となる最先端のスタートを切っている。

1968年8月8日、東大でも阪大でもなく、和田寿郎を主宰とする札幌医科大学胸部外科チームが日本初の心臓移植手術を実施している。

これは世界で30例目となる手術で、日本の外科技術の先進性を世界に示すものになる・・・はずであった。


心臓移植手術に関わった麻酔科医の告発により、和田チームの行動には「移植最優先で患者の命は後回し」としか思えないものがあるとされる。

初めに心臓移植ありきで、ドナーは助かるはずの命を殺されたのではないか?レシピエントも心臓移植ではなくて弁置換術で治ったのではないかと言われる。

もしもそれが事実ならば、二人の青年の命を和田チームが功名心のために奪った殺人罪と言ってもいいのではないかということで、訴えられている。


・・・しかし、基本的には関係者の告発のみで、物的証拠がない。

手術標本が行方不明になった上に入れ変えられていたり、ドナーの死体が問題になる前に火葬に付されていたり、限りなく疑わしい話も出回っているが、真相はやぶの中なのだが、これは大いに疑義を生んだ。

証人として召喚された著名な外科医たちの意見も何を気遣ってか終始、きわめて曖昧であった。

けっきょく、物的証拠がないと言うことで告発された殺人罪、業務上過失致死罪、死体損壊罪のすべてで嫌疑不十分で不起訴となった。


この問題は日本中を揺るがせた。

証拠不十分、証人の意見が対立するということで不問となった押尾守の保護者義務遺棄致死罪の騒ぎどころではない。

このために、心臓に限らず、脳死移植手術そのものが医者の功名心によってなされる不要な医療ではないかという意見が力を増していった。

移植をするべきだという外科医がいても、その医者が有名であればある程、あるいは注目される地位にあればある程、反対する団体から毎日病院前でデモをされて黙りこまざるを得ない状況もあった。

これは日本の外科医に取ってと言うよりも、脳死個体からの臓器移植を必要とする患者たちにとって不幸な世論の流れでしかなかったと私は思う。


1990年代に成立した臓器移植法案によって、脳死個体からの移植が日本でもようやく認められる。

しかし、再び世論に突っ込まれるような問題点が絶対ないようにしたいと言う医療側、行政側の思いから、脳死移植が可能な施設は極めて少ないものに限定された。

その結果の一つが年齢制限でもある。


現実に、15歳未満の移植が必要な先天性心疾患の患者のほとんどが今でも数千万円から数億円というお金を用意してアメリカにわたって心臓移植を受けている。

これはアメリカ国民の患者の移植の機会を減らすことにもつながっていて、国際的な問題にもなっている。


可能であるなら国内での小児の心臓移植手術をもっと適応を広げたい、そう思う医療家や患者の気持ちが及び腰の委員会の腰を押した大事な一歩ではある。

その発表がクリスマスイブになされたと言うのも、狙ってのことなのか偶然なのかは分からないが、小さな祝福と考えていいのではないだろうか。


ちなみに、ローマ法皇が

「人間の死とは脳死であって、心臓死ではない。」

そう認めて明確に宣言したのは、20年以上前の1980年代のことである。
  


Posted by norihiro at 13:38Comments(0)医療と倫理

2010年12月19日

ノロウイルスの感染力の強さはハンパないので・・・

心臓と肺に先天性の疾患のある赤ちゃんが病院内でノロウイルスに感染して死んでしまったそうです。

11か月という幼い命を失ったこの子は可哀そうです、ご冥福をお祈りしたいと思います。


ですが、この報道の仕方、病院が悪いかのように書いてありますけど、ノロウイルスの感染力はハンパないですからねえ。

感染を完全に防ごうと思ったらそれこそ全室個室で完全隔離、職員も毎日検査、お見舞いは全面禁止、家族にノロウイルス疑い(下痢・腹痛)が出た職員は出勤停止。

というぐらいにしないと無理でしょうしねえ。


入院中ノロウイルスに感染、乳児が死亡…宮崎

読売新聞 12月19日(日)21時17分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101219-00000549-yom-soci

 宮崎市は19日、同市の宮崎大医学部付属病院に入院していた宮崎県内の生後11か月の女児がノロウイルスに感染し、死亡したと発表した。

 市や病院によると、女児は心臓と肺に重い疾患があり、6月から入院していた。17日に下痢の症状が見られ、便を検査したところノロウイルスが検出された。同日夜に容体が急変し、18日未明に死亡した。

 病院の小児科病棟では4~19日に入院患者7人と病院スタッフら6人が下痢や吐き気などを訴え、患者3人の便からノロウイルスが検出された。病院は、院内感染の疑いもあるとして、18日から入院の受け入れを停止している。

 病院は「現時点では、ノロウイルスの感染と女児の死亡が直接関係しているかどうかは判断できない」としている。


ノロウイルスの感染力の強さを表現する例としておう吐物からの感染の話があります。

ホテルに泊っている人がノロウイルスに感染してホテルの廊下でおう吐してしまい、ホテルの従業員が急いで片付けに来ましたが、片付けに関わった従業員の多くが感染したのみならず、片付けられた後にその廊下を歩いた宿泊客も感染したそうです。

おう吐物を片付けるときには、できるだけ速やかに片付ける。

そしてそのさい、半径3m以内の人は蒸発した水分に乗ってきたノロウイルスを吸いこんで感染する可能性があります。

ですから完全にマスクして手袋して白衣着て、それを洗うときにも注意が必要。


ほんとに、防ぐのは難しい。

亡くなった方には申し訳ないけど、難しいんです。

もちろん常識的な範囲で最善策は尽くすべきだと思いますけどね。
  


Posted by norihiro at 22:33Comments(0)感染症

2010年12月16日

ES細胞から腸管様の構造ができるのは前からわかってたけど

ES細胞をin vitro(試験管内)で分化させて様々な細胞や臓器を分化誘導して再生医療につなげようと言う研究は1990年ごろからすでに始まっていました。

そんな中で1990年代前半にはあちこちの研究室で、ES細胞を様々な条件で培養していると、間質に取り巻かれた上皮構造ができて、それが蠕動すると言う現象が観察されました。

見た目は見るからに腸管なんだけど、それが神経系の走行を伴わない、筋肉の自律的な運動だと言うところが今一つ使えないところだったんですよね。

現象自体は面白いからたくさんの研究者が魅了されたのですが、再現性のある条件を作りだせず、また、組織構造が腸管とは似ても似つかないと批判されて、けっこうその確立に挫折して行きました。

そんな中で、Natureに載るほどの内容ならきっとすごいのでしょう。


ヒト万能細胞から「腸管」=複雑な立体組織形成―難病解明、再生医療に期待・米病院

時事通信 12月14日(火)16時22分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101214-00000086-jij-soci

 ヒトの万能細胞である胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)を試験管内で培養し、腸管に近い組織を作ったと、米シンシナティ子供病院医療センター(オハイオ州)の研究チームが14日までに、英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
 ヒト万能細胞から肝臓や膵臓(すいぞう)などのシート状組織を作った例はあったが、動物の体内に移植するのではなく、体外の試験管で複雑な立体組織を形成したのは画期的。
 潰瘍性大腸炎や赤ちゃんの壊死(えし)性腸炎などの難病メカニズム解明や治療法の開発に役立つ上、将来は患者に移植する再生医療の実現が期待される。飲み薬の腸での吸収を高める技術開発にも使えるという。 


え~っと、試験管内で腸管様の構造が出来上がったとして、それが免疫異常の疾患である潰瘍性大腸炎の解明にどう具体的につながるのかがあまりピンときません。

何か画期的なアイデアをこの記事を書いた記者の方はお持ちなのでしょう。

御教示願いたいものです。
  


Posted by norihiro at 02:11Comments(0)科学研究を医療に

2010年12月10日

受動喫煙で多動性障害?

受動喫煙させるのがよくないことだという嫌煙家の意見を押す報告だ。

私自身も受動喫煙は大嫌いだし、ましてや子供に吸わせる親なんて最低、とは思うものの、このニュースだけ見てみるとなんだかな。

どうも、信頼性に足りるのかどうか疑問の残る研究?見たいな気がする。


子どもの「受動喫煙」、メンタルヘルスに悪影響=英研究

ロイター 12月9日(木)15時36分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101209-00000559-reu-int

 [ニューヨーク 9日 ロイター] 親など周りにいる人がタバコを吸うことで「受動喫煙」にさらされる子どもは、そうでない子どもに比べて精神面で問題が多くなる傾向が、英国で実施された研究で明らかになった。

 ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)のチームは、英国に住む4─8歳の子ども901人を対象に、唾液などから受動喫煙の度合いを調べたほか、子どもの親にアンケートを実施。その結果、平均すると、受動喫煙の量が多い子どもほど、多動性障害や行為障害など精神的な問題を抱える傾向にあることが分かったという。

 研究を主導したUCLのマーク・ヘイマー氏は、今回の研究は、喫煙者の親に対し、禁煙または屋外での喫煙をさらに促す結果になったと指摘した。

 ただ、受動喫煙が子どもの精神面にどのように悪影響を及ぼすのかは明確でないとし、さらなる研究が必要だと述べた。


901人の4歳から8歳の唾液を調べて、その両親にはアンケートを取って調べたと言うことだけど、拝啓因子の整理がほとんどなされてないんじゃないかという危惧を抱くニュースの内容だ。

そもそも、両親にはアンケートとなっているけれども、両親がメンタルな問題をもともと持っているかどうかのスクリーニング話されているのだろうか?

単純に考えれば、イギリスのような嫌煙運動の歴史の長い国では喫煙するような成人は、すでにいろんな問題を抱えている率が高いはず。

どちらかといえば経済的に貧しい人が多くて、どちらかと言えば教養も少ない人が多い。

そういう家庭に育つこと自体が子どものメンタルヘルスに影響を及ぼさないはずがないと思うのだけれども、そのへんはきちんとコントロールが取られているのだろうか?

さらに、多動性障害や行為障害には遺伝的な素因もある程度影響するわけで、そこのところ、そう言う素因を持つ親が喫煙者になる可能性自体高いと言うことはないのだろうか?(知らないけど)

その辺、このニュースだけではさっぱり分からない。

かなり恣意的にネタを拾ってきて喫煙批判を展開しているような気がする。


もっかい書くけど、私自身は嫌煙家の一人です。

でも、非科学的で感情的な嫌煙運動はしたくないです。  


Posted by norihiro at 01:06Comments(0)メンタル関連のお話