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Posted by だてBLOG運営事務局 at

2011年05月07日

食肉卸業者と焼き肉チェーン店、そして厚生労働省の責任

前の二つの記事に続いて再々の話題になるけれども、病原性大腸菌O111による食中毒の話題。

O111にしてもO157にしても感染力が強いので、ごく少量の菌を食べてしまっても感染しうる。

引き起こされるのは腸管出血、それのみならず溶血性尿毒症症候群という致死的な疾患。

でも、細菌が腸管内で繁殖すること、あるいは産生されたタンパク毒素を大量に摂取して発症することを考えると、汚染された食物であっても十分に加熱調理して食べれば問題ないわけだ。

問題は、加熱調理しないユッケの感染対策をないがしろにして客に提供したことだ。

以下はYahoo!のニュースから

生食用と知りながら、加熱用と同じ包丁使い回し

読売新聞 5月7日(土)14時33分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110507-00000425-yom-soci

 焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」の客4人が腸管出血性大腸菌「O(オー)111」などで死亡した集団食中毒事件で、肉を納入した「大和屋商店」(東京・板橋区)が生食用として提供されると知りながら加熱用の肉と同じ作業場で加工し、まな板や包丁を使い回していたことが、板橋区保健所などへの取材でわかった。

 厚生労働省の衛生基準では、生食用の肉の加工は加熱用と明確に分け、専用まな板や包丁などを使用するとしている。

 また、富山、福井、神奈川の3県警と警視庁は7日、合同捜査本部を設置した。

 板橋区保健所によると、4月28、30日、大和屋に立ち入り調査したところ、作業場で牛肉は、生食用も加熱用も同じ加工台で処理されていた。大和屋は保健所に「加熱用の肉しか扱っていない」と説明していた。

ここまでYahoo!ニュース


最終的に客に提供した焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の衛生概念の不足はまちがいない。

生食で肉を提供する場合には調理の段階で表面を削り落すなどの加工が必要であるとされていることを、知らなかったわけではない。

加工業者にその処理をしてもらっているからうちでやる必要はない、というのは「経営効率重視の安全軽視の典型」としか思えない。


食肉を卸販売していた「大和屋商店」(東京・板橋区)の罪も重い。(もっとも重いかもしれない)

生食用として提供されると知りながら、加熱用の肉と加工場も道具も変えていない、そのまま生で食べたら食中毒を起こす危険性があるとわかっていながら作業を進め、それを焼き肉屋に「生食向け」と口頭で伝えて販売していた。

その一方で保健所には「生食肉」の調理をしているとは届け出ていない。


そして監督官庁の厚生労働省。

生肉を食べることの危険性の周知徹底と管理責任をどうするかということをうやむやにして放置してきたと言われてもしょうがない。

かつて、焼き肉が長年にわたって肉を取り扱ってきた業者の間でのみ販売される特殊な食べ物であったうちは良かった(みんなが知っているような老舗の焼き肉屋でO111やO157に集団感染したなんて話は聞いた記憶がない。)。

でも、規制緩和で新たな人々が参入してきたことで「知識も責任感も不十分な素人の」経営者が焼き肉屋運営に参戦してきてしまったわけである。


そこに「安くてうまいものを提供する店もあってあたりまえ」という我々消費者のモンスターニーズ。

ただし、消費者には知識と責任は前の三者ほどには求められるべきではない。


結局は全てを統括する厚生労働省がきちんと規制をかけるべきだったのだ。

肉の生食販売はふぐ料理と同等のライセンスや罰則を設けて許可するようにすべき、そうしないとこの悲劇はなくならないだろう。


ということで、お店で生食はライセンス後に再開、それまで凍結でいいんじゃないかと思う。

  


Posted by norihiro at 21:16Comments(0)感染症

2011年05月04日

生食用の牛肉は流通していないという前提を知らなかった。

焼き肉チェーン店で提供された生肉料理のユッケを食べて大勢の客が腸管出血性大腸菌O111あるいはO157に感染してしまい、溶血性尿毒症症候群で重症となって入院治療を受けるものが数十名、そのうち子供二人が死亡した事件。

この事件は被害者の悲惨さもさることながら、日本の食の安全に対する考え方をもう一度根底から考えなおさせる事件になっていると思う。

もちろん、この焼き肉チェーン店に一義的な責任はあるのだが、「牛肉の生食に対する行政管理の問題」というものも避けて通れない。

完全な管理をするには大変なコストがかかるので、あえて店側の責任として安全管理を任せていたのが食肉流通の監督官庁の態度だったのだと思うけれども、それは店側に十分な知識と対応する能力があると言う「常識的に言って大丈夫だろう」というだろう運転的な部分があることが否めない。


*****ニュースの引用*****

焼肉チェーン店社長「認識の甘さと弱さ」

TBS系(JNN) 5月4日(水)0時20分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20110504-00000003-jnn-soci

 3日、フーズ・フォーラスの勘坂社長は憔悴した様子で質問に答えました。

 「お客さまの命に関わる食の安心と安全を最重要視して、もっと取り組んでおくことに対しての認識の甘さと弱さがあったことに反省と後悔をしております」(勘坂康弘社長)

 「食中毒、そして死者を出した。取り返しのつかないことをしました。本当に申し訳ございません」(勘坂康弘社長〔2日〕)

 焼肉チェーン店「焼肉酒屋えびす」の富山県と福井県の2つの店舗で、生肉のユッケを食べた10歳未満の男の子2人が死亡した食中毒事件。2人からは腸管出血性大腸菌「O111」が検出されました。

 警察は業務上過失致死の疑いで捜査を開始、3日、勘坂社長から任意で事情を聴きました。

 さらに、横浜店でも先月、ユッケを食べた19歳の女性が重い食中毒症状を起こし、入院していたことがわかりました。3日、新たに神奈川県内の系列店で食事をした6人が体調不良を訴えていることがわかりました。このうち、横浜市内でユッケを食べた19歳の女性は重症の食中毒症状を起こし、入院しているといいます。

 この女性が食事をしたという店舗の従業員が、実情を語りました。
 「衛生管理はちゃんとやっていた。(富山県で男の子が死亡した後)こちらの認識も甘かったのではと、きちんと細かくやろうということになった」(「焼肉酒家えびす」の従業員)

*****ニュースの引用ここまで*****


ここまでのニュースでよくわかるのが、店側の知識のなさだ。

腸管出血性大腸菌O111あるいはO157は、牛ではたいした症状も出ないことが多いことから、牛の腸内細菌としていくらでも常在しうる病原性細菌だ。

しかし、食肉加工の際に内臓を傷つけない、肛門付近を注意するなど、糞便からの汚染に気をつければ肉の汚染もおこらない。

でも、すでに感染事故は富山で起こっていたのである。

これは、この店が仕入れている肉が大元から汚染していたことを意味する。


店員、あるいは管理者に問いたい。

O111やO157が100個程度の細菌数で食中毒を起こす細菌だとわかっていたのか?

チェーン店で扱っている以上、大元の肉が汚染されていた可能性が高いということを理解していたのか?

そうではなくて、温度管理や冷凍された肉を迅速に調理して出せば大丈夫と思ってなかったか?

普通の食中毒予防の対処でよいと、勝手に思い込んでいたのではないか?

上の焼き肉屋の「衛生管理はちゃんとやっていた」という発言を見ると、それらのことを知らなかったとしか思えないのだ。

生食の牛肉料理を販売して食べさせる店の従業員であれば、当然のように把握しておくべきO111やO157汚染と感染に関する知識。

これは、監督官庁が生食の牛肉料理の販売を容認する以上、営業者・調理者に周知徹底すべき知識ではなかったのか?


****再びニュース引用****

 一連の食中毒事件の患者は、疑い例も含めすでに富山、福井、神奈川の3県で63人に達しました。

 「私たちは、生食用の肉を使用していません。厚労省の発表によると、流通しておりませんので、日本中、全ての焼き肉店において生食用の肉は販売しておりません。これが事実であります」(勘坂康弘社長〔2日〕)

 店で提供したユッケの肉は「加熱用」であったと話しますが、厚労省によりますと、現在、牛肉は生で食べるための肉として流通しているものはありません。つまり生で食べる肉を提供する際は、加熱用の肉を飲食店の責任で処理して提供しているのが実態です。

 横浜市の担当者は、「焼肉酒屋えびすはインターネットで卸売業者を募集していて、業者との信頼関係ができていなかったのではないか」と話しています。

 「今回、被害者をお見舞いして、改めて引き起こしたことの重大さ、そして、私どもが何としてでも被害者様をバックアップしていかなければと強く受け止めております」(勘坂康弘社長)

****ニュース引用ここまで****


報道を見る限り、この社長が意図的に衛生管理に手を抜いたわけではなさそうだ。

すごく真剣に正直に謝っていて、どこかの電力会社の関係者と違って正直な人みたいだ。

でも、それだけに横浜や藤沢で再び事故を起こしているのが哀しい。


牛肉の生肉を食べることによる感染予防の責任は事業者に投げられていたのである。

腸管出血性大腸菌による感染症についての知識がチェーン店すべての従業員に備わっていれば、神奈川の食中毒はぜったいに起こらなかったはずの事故である。

ということは店側に知識が備わってなかったとしか思えない。


ユッケ好きとしては非常に残念な話であるけれども、今後、ユッケやタルタルステーキが食べられなくなる事態にしばらく陥ったとしても、監督官庁による徹底指導、少なくとも「腸管出血性大腸菌」などの病原性細菌に関する知識を食肉販売業者に周知徹底するべきだ。

周知しない限り、それが確認できないかぎり、牛肉の生食販売を認めてはいけないのではないかと思う。

大仰かもしれないが、フグの販売と同等の規制、あってもいいのではないだろうか、残念だが、哀しい事故を防ぐには今の段階ではそれしか思いつかない。
  


Posted by norihiro at 15:54Comments(0)感染症

2011年04月30日

溶血性尿毒症症候群(HUS)発症は防げないのか?

富山県の焼き肉店でユッケなどを食べた大勢が食中毒で苦しみ、10歳の子供に至っては溶血性尿毒症症候群で死んでしまった。

男の子は父親と二人で焼き肉店に来て食事していたそうです。

とても楽しい食事だったでしょうね、父親も少年も二人とも。それなのに。

私もよく息子たちと男ばっかりで焼肉屋に行っていましたので、すごく悲しい、胸が締め付けられるような想いになりました。


食中毒で男児死亡=焼き肉店食事の24人発症―富山

時事通信 4月29日(金)22時30分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110429-00000116-jij-soci

 富山県は29日、同県砺波市の焼き肉店で食事をした24人が下痢や発熱の食中毒症状を訴え、うち溶血性尿毒症症候群(HUS)の疑いで入院していた10 歳未満の男児1人が死亡したと発表した。男児からは腸管出血性大腸菌O(オー)111が検出された。ほか23人のうち5人が重症。
 県によると、24人は21~23日、砺波市の焼き肉店「焼肉酒家えびす砺波店」で、ユッケを食べたという。死亡した男児は21日夜、父親と2人で同店で飲食。24日に嘔吐(おうと)や下痢と発熱、血便などの症状を訴え入院し、29日午前に死亡した。
 食中毒症状を起こした24人のうち14人からO111やO157が検出された。
 県は27日、同店に3日間の営業停止を命令。同店など系列20店が営業を自粛しているという。
 同店を経営するフーズ・フォーラス(金沢市)の勘坂康弘社長は29日夜、記者会見し、「申し訳ない思いでいっぱい。取り返しのつかないことだが、できることは最大限やらせていただく」と話した。 


O157やO111による重篤な疾患、溶血性尿毒症症候群は日本でよりも肉食文化のアメリカなどでしばしば食中毒事故を起こす細菌です。

怖いのは感染力、というか、感染した後の発症力が非常に強いということ。

100個の細菌を食べてしまえば発症すると言われていますから、感染している動物の生肉や、汚染している食材や調理器具を使った料理を食べれば高確率で発症します。


でもね、大腸菌ですし、これが作るベロ毒素もタンパク毒なので、肉を十分に加熱すれば発症する可能性はほとんどなくなります。

もしも残存した毒素にやられても症状はそれほどひどくならないはずです。

だから十分に加熱した肉料理を食べる場合は、これらの細菌にやられる危険性は少ないのです。

(汚染した生肉を自分の箸で拾って焼いてそのまま食べる場合、箸に付いている分だけで発症します。)


ですが、ユッケとかタルタルステーキなどの生肉を食べることが基本の場合はどうしようもないですね。

レアステーキも汚染していたら、まずアウトです。

日本よりも欧米のレアで牛肉を食べることの多い人たちの間では、なかなか縁の切れない手ごわい相手で、自分の家で食べるときには十分加熱するのが原則です。

でも、お店で食べる物の危険性は予測しようがないよね。


お店の場合、最大の危険は、調理者やその周囲の人が不顕性の感染者、保菌者になってしまっていた場合です。

今回はどう言う原因なのか、感染源はどこかわからないけれども、ほんと、アンラッキーとしか言いようがないです。



その後、報道を読んでみると、生食用の牛肉というのは正式に認められて流通しているわけではないそうですね。

生産者というよりも調理者の管理にゆだねられているようです。

生肉の美味しさを知ってしまうとユッケもタルタルステーキも魅惑の食べ物なのですが、子供や老人、体力のなさそうなダイエットしてカリカリの若い女性なんかに食べさせるのは考えもののメニューだったんですね・・・。  


Posted by norihiro at 14:43Comments(0)感染症

2011年01月20日

タミフル投与患者8%に耐性ウイルス出現!

耐性ウイルスの出現を抑えるために、ではどうすべきか?
危惧されていた問題が忘れ去られていた感がありましたが、出てきましたね。


2008年に出現したH1N1ソ連型のタミフル耐性ウイルスは北欧で出現して世界中に広がりました。

そのころすでにタミフル使いまくり大国だった日本から最初に出るだろうと思われていたところにそんな展開だったので、何だ、タミフル使っても使わなくても結局出るんじゃん、つかってやれ。

そう思う医療関係者もいたかもしれません。

でも、よ~く調べてみたらやっぱり変異ウイルスの出現率は上がっていたんですね、タミフルを使う人では。


<タミフル>投与患者8%に耐性ウイルス 東大など調査

毎日新聞 1月20日(木)6時1分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110120-00000014-mai-soci

 インフルエンザ治療薬「タミフル」を投与した患者のうち約8%で耐性ウイルスが現れていることが、東京大医科学研究所などの調査で明らかになった。タミフルが他の治療薬と比べ、臨床現場での治療により耐性ウイルスを出しやすいことが分かったのは初めて。19日、感染症の米専門誌電子版に発表した。【関東晋慈】

 河岡義裕・同研究所教授(ウイルス学)らの研究チームは05~09年の過去4シーズン、けいゆう病院(横浜市)でタミフルと治療薬「リレンザ」を投与した患者各72人計144人を調べた。その結果、タミフルで治療した患者6人から耐性ウイルスが確認されたが、リレンザで治療した患者からは現れなかった。

 患者はいずれもタミフルの投与で回復したが、体内でインフルエンザウイルスが増殖する過程で一部が耐性を獲得した可能性があるという。こうした耐性ウイルスは増殖力が比較的弱いとされ、これまで治療が原因による感染拡大は起きていない。だが、感染力や増殖力が強まれば、タミフルが治療に使えなくなるなど、今後の治療に影響する懸念がある。

 同病院の菅谷憲夫小児科部長は「国内では経口薬のタミフルのほか、吸入薬のリレンザ、イナビル、点滴薬のラピアクタの計4種類のインフルエンザ治療薬がある。バランスよく使っていくことが大切だ」と話している。


一昨年の新型H1N1インフルエンザの大流行にあわせて、日本ではそれまでにもまして頻繁にタミフルが使われましたね。

タミフル耐性ウイルス出現の危機が叫ばれながら、若年者や妊婦で重症化して死ぬ率が高いと言う話でしたし、ほんとにばかすか使われました。

結果として、日本での新型インフルエンザ罹患率は他の国と変わらなかったのに、致死率は他の国に比べてものすごく低かったのです。

国民の命を守ると言う点では正解だったと思います。


私は妊婦さんに聞かれたら、積極的に使うように勧めてきました。

そして小学校低学年以下の幼児にも積極的に飲むように勧めてきました。

あるいは合併症があって呼吸機能の弱い人やお年寄りにも聴かれたら勧めたでしょう、聴かれませんでしたけど。


でも、バランスの問題でしょうね。

若くて体力のある学生や、働き盛りのサラリーマンや50歳以下の主婦とかだったら、飲まなくていいんじゃないの、寝て治せば?

そう言いたくなります。

わざわざタミフルで症状抑えて営業に回ってウイルスばらまく必要性はどこにもないのです。


元気な働き盛りの人は、インフルエンザにかかってしまったら神様がお休みをくれたと思って寝て治すように、考えてみてください。

医療機関は要望されれば出さざるを得ませんが、患者の側から、考えてみてください。

耐性ウイルスはいずれ出現しますけど、あなたが寝て治すことで、それを一日でも遅らせることができるかもしれません。  


Posted by norihiro at 21:35Comments(0)感染症

2011年01月14日

インフルエンザワクチンの3つの真実

「ワクチン打ったのにインフルエンザにかかった、どうして?ひどい!医者なんて信用できない!」

たびたび聴かされるのがそう言う言葉、冗談で言ってるのかと思ったら本気のようで。

インフルエンザワクチンがどういうものなのか、皆さんご存じないと見える。

たぶん、こういうニュースの意味もあんまりわからないよね。


インフル患者報告が倍増―12週連続で増加

医療介護CBニュース 1月14日(金)12時37分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110114-00000000-cbn-soci

 全国のインフルエンザ定点医療機関当たりの患者報告数が、1月3-9日の週は5.06で、前週の2.30から倍増したことが14日、国立感染症研究所感染症情報センターのまとめで分かった。患者報告数の増加は12週連続。

 都道府県別では、最多の沖縄が25.90で突出しており、以下は福岡(11.53)、佐賀(11.41)、長崎(9.29)、宮城(9.15)、鹿児島(7.41)などの順=表=。
 警報レベルを超えた保健所地域は前週から2か所増の4か所、注意報レベルのみを超えた保健所地域は24か所増の35か所だった。

 また、昨年11月29日-今年1月2日の5週間に検出が報告されたインフルエンザウイルスは新型が最も多く、55.6%を占めた。このほか、A香港型が40.4%、B型が4.0%だった。


インフルエンザワクチンだけれども、以下の特徴がある。


1.流行するウイルス型の予測がはずれると効果は薄い。

 国立感染研究所などで過去のウイルスの流行パターンを見て、次のシーズンに流行りそうなワクチンの方を決めてしまう。

 ワクチンの製造には5カ月ぐらいかかるのが当たり前だから、当たるかどうかは神のみぞ知る。

 昨年の新型はまだ免疫を持つ人が少ないから今年もはやると言うのは予測されていたけれども、その前にH3N2が流行ることの確信を持っていた研究者はいないはず。


2.注射してから効果が出るまでに2週間はかかる。

 ワクチンというのは打った瞬間からスパッと効く薬ではない。

 打たれた人の免疫系を刺激して、その人の免疫系がインフルエンザワクチン感染に準備することを期待する仕組みだ。

 免疫がその準備を整えるのに2週間はかかる。


3.ワクチンを打っても感染するのは当たり前、ただし、症状が軽くなる(ことが多い)。

 ワクチンを打っても感染を完全に防げるものではない。

 ワクチンを打ったらその病気に感染しても症状が軽くなる、感染しても何の症状もない人も中にはいる、というのが正解。

 「ワクチン打ったのにかかった~、だまされた~!(>_<)」という人、騙されたんじゃなくてあなたが勘違いしていたの。


と、いうことで、受験とか面接とか結婚式とか負けられないゴルフコンペとか、大事な用事が2週間以上先に控えていて、今年のインフルエンザワクチンをまだ打ってないと言う人はぜひ接種を考えてみてください。

ちなみに今年のワクチンは打った後腫れてしばらく痛がる人が多いみたいです。

私は12月半ばに打ちましたし、クリスマスには腫れも引きました。(・_・)ノ☆(*__)  


Posted by norihiro at 19:11Comments(0)感染症

2011年01月13日

致死率100%の風土病?カラアザールは原虫感染症です。

致死率100%の風土病が猛威をふるっていると言うヤフートピックスのタイトルにびっくりして、

もしかして「エボラ・ザイール」の超強力な毒性の新型ウイルスが出たのかって思ったら、何だ、カラアザールじゃん、ってちょっと拍子抜け。

いえ、怖い病気が出てほしいと思ってるわけじゃないんだけど、「ホットゾーン」とか好んで読んでいたのでそっちかと思った。

カラアザール(内蔵型リーシュマニア症)なら治療薬あったはずでは、とか思ったら・・・。


致死率100%の風土病猛威=独立歓喜の陰で人道危機―スーダン南部

時事通信 1月13日(木)5時49分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110113-00000027-jij-int

 【ジュバ(スーダン南部)時事】スーダンからの独立の是非を問う住民投票が15日まで実施されている南部で、治療しなければ致死率がほぼ100%の風土病、内臓リーシュマニア症(カラアザール)が8年ぶりに大流行している。医療関係者は「住民投票の歓喜の陰で内戦に伴う人道危機は続いている」と警告している。
 カラアザールは、寄生虫を媒介するサシチョウバエを介して感染する熱帯病で、スーダンでは南部ナイル川沿いの州など一部地域で発症。マラリアなどとは異なり、地域的に限定された病気のため研究が不十分で、「顧みられない病気」とも呼ばれる。
 8年前の流行後、免疫のない世代が増えたほか、天候の影響もあって昨年末から大流行。南北内戦で発症地域に十分な医療施設や医師が存在せず、死者数など実態は不明だが、国際緊急医療援助団体「国境なき医師団」が昨年治療した患者数は、前年比8倍超の約2050人に上っている。 


カラアザールは感染すると肝臓や脾臓が腫れあがってお腹がぽっこりでるだけでなく、リーシュマニア症の特徴でもある全身に脈絡なく出現する腫瘤の性で恐ろしい外見になることもある。

「Leishmania Donovani」とじゃ「Kala-azar」でGoogle画像検索して見たらよい。

(検索してみたらかなりショッキングな画像がトップに並んでいたので食事前や食事中に居間で検索するのはやめておきましょう)

サシバエ(蚊と思ったらいい)の一種の消化管内で繁殖する原虫Leishmania Donovani(ドノバン・リーシュマニア)が原因で、これに感染したサシバエに血を吸われるときに感染する。


マラリアで代表される原虫ってのはバクテリアではなくて寄生虫に分類されるのだけど、サイズ的なことから言えばもうほとんど細菌サイズ。

外敵を捕食して消化する白血球の代表であるマクロファージに捕食されて、その中でばんばか増える。

増えて細胞がパンパンになったら破裂して出てくるからそれを他の元気なマクロファージたちが食べる。

げんきなマクロファージに捕食されて、その中でばんばか増えると破裂して・・・

リーシュマニア・ドノバニの感染スタイルは以下のアニメで

http://www.youtube.com/watch?v=8KOV_v65CMw


治療しなければ100%致死、それは確かにその通りで、間違いなく恐ろしい病気だ。

これも私、医学部の寄生虫学講座でも習ったのだが、医学部に入る前に小学校4年生の時に知っていた。

医学研究団の科学者が未開の土地に行って風土病の研究と治療をしながら猛獣調査もする、みたいな少年向けの本があって、それで読んだ。


カラアザールという恐ろしい病気のイメージは10歳の少年の脳裏に強烈に焼き付いた。

「カラアザールの流行している地域にだけは旅行しないようにしよう、日本人でよかった。」

なんてことを思いながら本を読みつつ、牛乳飲みながら、かりんとうをポリポリ食べてたのを今思い出した。←深刻さが薄い(^^ゞ


脱線したから戻すと、カラアザール、早い段階で治療すればほぼ治すことができる。

ドノバン・リーシュマニアに効果的な治療薬はいくつか知られているからである。


ただ、問題は、その治療薬の価格が高いことだ。

もっとも安全でかつ効果的な特効薬は、治療に必要な分を使うと薬剤費だけで2000ドル以上するという。

2000ドル(16万円)以上というのは、日本人からしてみれば、それで命が助かるなら安いものだ、と思うかもしれないけど、流行地の人からすると一生かかっても稼げないかもしれない金額だ。


一方、安価な昔から使われている薬は副作用が強く、毒を以て毒を制す的な薬で、人によっては死ぬこともあるらしい。

(使ったことないので、どんな副作用かは詳しくは知らない、すみません。)

そしてこちらでも薬剤費で5000円はするとのことで、スーダンの地方の貧困家庭では逆立ちしたって出せない金額だろう。


どうしてそんなに薬代が高いのかというと、先進国では流行していない病気だからである。

流行地を訪れる先進国の人などからの小さな需要はあるので作り続けてはいるが、製薬会社としては赤字で奉仕している状態だと思われる。

作ってもそれほど売れない薬(需要はあってもその人たちにお金がない薬)、製薬会社には大量生産して薬価を下げるメリットがないからである。

それで、薬は現地の貧乏な患者に投与されることはない。

助かる命は今でもどんどん失われているのである。


だから、致死率100%なんていうこういう「釣りな」タイトルをつけても、ヤフートピックス、許す。

こういう「無視されている」風土病の存在に注意を喚起して、我々がそれを何とかしたいと思う気持ちになるのはいいことかもしれないから。


リーシュマニアに注意喚起するYoutube動画、最後のあたりにショッキングな患者画像が出るので注意。
http://www.youtube.com/watch?v=q1_sfpau5yo

皮膚リーシュマニア症の画像のスライドショー これは医療関係者以外にはお勧めしない。
http://www.youtube.com/watch?v=pCRW23BPuZI&NR=1


風土病に関する情報と寄付のことなら以下を参照。

 ⇒国境なき医師団 あなたの3000円で100人を救いませんか?

もちろん、他にも寄付する先はいろいろあるけれども、現場に一番近い団体の一つだと思う。
  


Posted by norihiro at 16:04Comments(1)感染症

2011年01月06日

国産エイズ予防ワクチンにすごく期待してます。

エイズのことを初めて知ったのは僕は1983年のこと。

医学部の学生だったけど、授業で知ったのではない。

徹夜マージャン明けで一寝入りして、午後からの病理学は出たい授業だったから頑張って起きるべ、ってことで雑魚寝していた4人がむっくり起きてインスタントラーメンのブランチをかっ込みながら笑っていい友を見ていたときのことだ。

男性同性愛者の患者が、AIDS発症で全身にカポシ肉腫の斑点が出て恐ろしい姿に変わり果てる前と後の画像を見せられた。

眠気が吹っ飛んだ。

あれからもうすぐ28年がたつわけで。。。


国産エイズ予防ワクチン、来年から米で臨床試験

読売新聞 1月6日(木)3時11分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110106-00000019-yom-sci

 国産のエイズ予防ワクチンとしては初めてとなる臨床試験を、国立感染症研究所などが2012年から米国で始める。

 エイズワクチンは世界で開発が進められているが、実用化した製品はまだない。研究チームは動物実験でワクチンの感染予防効果を確認しており、世界初の実用化をめざす。

 臨床試験には、東京大医科学研究所とベンチャー企業「ディナベック」(茨城県つくば市)が参加。非営利組織の国際エイズワクチン推進構想(IAVI)が資金提供する。

 開発したのは、「センダイウイルス」という人間に病気を起こさないウイルスを使ったワクチン。このウイルスに、エイズウイルスのたんぱく質を作る遺伝子を組み込んで、未感染者に注射する。体内で遺伝子からエイズウイルスのたんぱく質が作られると、エイズウイルスが感染した細胞を狙い撃ちする免疫細胞ができ、発症を予防する。


期待している理由の一つはセンダイウイルスの安定性。

様々な実験に使われているセンダイウイルスベクターだが、人間には無害であると言う利点がこれまであまり顧みられてこなかった。

なんせ最初に見つかったのが新生児肺炎の患者サンプルからだから、マウスとラットにしか病気を引き起こさないと言われてもにわかには使う気になれない。

でも、何度も動物実験を繰り返しての今回の臨床試験。

安全性だけでなく、センダイウイルスの継続的で高い発現ベクター能力に大いに期待である。

HIVの変異によるすり抜けが少ない部位に対して長く働くワクチンになれば、医療関係者にとっても心強いワクチンの誕生となるだろう。  


Posted by norihiro at 23:12Comments(2)感染症

2010年12月28日

子宮頸がんワクチンの副作用で失神?えええ~!?

子宮頸がんワクチンの副作用で失神のタイトルにびっくり。

読んでみてその内容にまたびっくりした。

あたかも子宮頸がんワクチンそのものに重篤な副作用があるかのようなこの記事タイトルなのだか、中身は違う。

読売新聞としては人目を引いて売り上げを上げたいのかもしれないが、とんでもない言いがかりともとれる。

だって、この記事、よく読めば筋肉注射に慣れていない現代の小学六年生が痛みにへこたれてるだけの話であって、子宮頸がんワクチンに特異的な問題ではないのだから。


子宮頸がんワクチンで副作用、失神多発

読売新聞 12月28日(火)3時2分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101227-00001223-yom-sci

 子宮頸(けい)がんワクチンの副作用として、気を失う例の多いことが、厚生労働省の調査でわかった。

 接種者の大半が思春期の女子で、このワクチン特有の強い痛みにショックを受け、自律神経のバランスが崩れるのが原因とみられる。転倒して負傷した例もあるという。同省は「痛みを知ったうえで接種を受け、30分程度は医療機関にとどまって様子を見るなど、注意してほしい」と呼びかけている。

 子宮頸がんワクチンは、肩近くの筋肉に注射するため、皮下注射をする他の感染症の予防接種より痛みが強い。昨年12月以降、推計40万人が接種を受けたが、10月末現在の副作用の報告は81人。最も多いのが失神・意識消失の21件で、失神寸前の状態になった例も2件あった。その他は発熱(11件)、注射した部分の痛み(9件)、頭痛(7件)などだった。


昭和の時代なら予防接種は筋肉注射が当たり前であったし、現代でも日本以外の多くの国では筋肉注射が当たり前である。

それが日本では皮下注射になったのは、痛くないことと、まれに起こる副作用の筋委縮に対してマスコミが反筋肉注射のアジテーションを行ったためである。

皮下注射よりも筋肉注射の方が免疫反応は強いとわかっているにもかかわらず、日本の医療が予防注射を皮下注射主体に変更したことは諸外国の予防医学者からは冷笑されている。


昭和の時代であれば幼児の頃から筋肉注射は受けていた。

小さな子の方が痛みからくる心因性のショックに対しては強いし、経験から痛みへの恐怖も薄れていたはずである。

だが、小学六年生で始めて筋肉注射を受けた今時の女子児童は痛みに慣れていなくてくらくらする。


あいかわらず、新聞は目を引くための記事を書いて医療を崩壊させていないか?

せっかく、高い確率で女性を子宮頸がんの恐怖から救ってくれる可能性のある子宮頸がんワクチンの普及が、こんな恣意的な内容を見誤った記事で妨げられることを危惧する。
  


Posted by norihiro at 08:55Comments(2)感染症

2010年12月27日

インフルエンザの流行が本格化、どう考えるべきか。

インフルエンザの流行が本格化してきました。(2010年12月末の情報です)


今週は2010年の最後の週ですね。

今日、27日から休みの職場も多いと思いますし、先週後半から残務整理に明け暮れているところもあるでしょう。

いずれにせよ、急激に寒くなったなかでのお仕事に家庭サービスにお疲れ様でございます。


今年は一年を通じて気候の変動が激しい年でしたね。

今月も18度前後と11月上旬のような暖かさと10度以下という1月下旬のような寒さとの間で大きく気候が揺れて、対象を崩している人が多いと思います。

かく言う私も頭痛と鼻水を抱えながらの通勤で、ウイルスをばらまきながら申し訳ないと思いつつ、満員電車に揺られています。


この危険な状況の中、インフルエンザの定点観測結果から、流行が本格化してきたことがわかりました。


インフルエンザ流行入り 新型→妊婦・子供 季節性→高齢者

産経新聞 12月27日(月)7時57分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101227-00000107-san-soci

 ■「すべての年齢層で注意を」

 今季のインフルエンザが流行入りを迎えた。昨シーズンの流行は新型一色だったが、今季は季節性と新型が混在した形で流行しそうだ。新型では妊婦や子供の重症化に注意が必要だったが、季節性インフルでは高齢者にハイリスクとなる。厚労省も「今年は、すべての年齢層で注意が必要」と呼びかけている。

 ▼集団感染に警鐘

 国立感染症研究所によると、現在、最も流行しているのが季節性インフルの「A香港型」というタイプ。これまで検出された63%がこのウイルスだ。

 北里大医学部の和田耕治講師は「A香港型は高齢者で重症化することが多く、高齢者施設などは集団感染に注意が必要」と話す。11月にも秋田県の病院で50人以上が集団感染し8人が死亡する事案が発生している。このまま「A香港型」が流行すれば、平成18年以来4年ぶりの本格的な流行となり、厚労省は「大きな流行になる可能性もある」と注意を呼びかける。

 参考リンク

 ⇒インフルエンザの知識とインフルエンザへの対処


 ▼従来にない特徴

 一方、昨シーズン流行した新型インフルにも依然、注意は必要だ。毒性こそ低かったが、子供が感染後に肺炎や脳症を発症し、救急搬送されるケースが多発。海外では妊婦の死亡例が相次ぐなど、従来の季節性にはみられない特徴を持っていた。

 現在検出されている34%が新型で、国立感染症研究所感染症情報センターの安井良則主任研究官は「診察では『A香港型』か新型かまでは識別できない。家に帰ってから、容体が急変するようなことがあったらすぐに医療機関に連れていくことが大切」と話す。

参考リンク

 ⇒新型インフルエンザの知識と対策



つまり、同じインフルエンザの感染と言っても、タイプが異なるものが二種類流行っているので、それぞれに対応して、別の病気と考えて対処する必要があると言うことです。

A香港型に関して言えば、去年を除いてほぼ毎年のように流行するウイルスなので、多くの人がある程度機能する免疫を持っているものです。

でも、高齢者が危険なのは、免疫機能が落ちていることと、身体の予備能(HP値と思ってください)がもともと少ないことが理由です。

A香港型に感染した予備能の少ない人が命を落とす、これは毎年のことなので、毎年気配りが必要です。

(むしろ新型ばっかりだった昨年など、高齢者にとってはよい年だったかもしれません。)


新型と妊婦の関係については、日本はあまり当てはまらないんですが、これはタミフルやリレンザの普及率がものすごく高いことと関係すると思います。

日本人はすぐに病院に行ってそれらの薬の処方を希望していましたからね。


タミフルの使い過ぎで、耐性ウイルスが日本から出るんじゃないかと諸外国から危惧されていましたが、タミフル耐性ウイルスが出現したのは北部ヨーロッパからでした。

なかなか理屈通りには進まないからこそ伝染病は広がるのかも知れませんが、奇妙なことでした。

でも、やはり耐性ウイルスの出現は恐れるべきことですが・・・


 ▼新薬も登場

 対策として最も有効なのがワクチンだ。昨年は接種時期にワクチン供給が間に合わず混乱したが、今年は約5800万人分が用意されており、厚労省も「十分な量が確保できた」としている。今季のワクチンには、季節性と新型の両タイプが入っており、1回の接種で両方が予防できる。

 明るい話題は、新たな治療薬の登場だ。これまで「タミフル」と「リレンザ」という2種類しかなかったが、今年に入って塩野義製薬の「ラピアクタ」と第一三共の「イナビル」が承認され、使えるようになった。

 「タミフル」や「リレンザ」は1日2回、5日間服用する必要があったが、今年登場した2つの薬は1回の投薬で効果が得られる。特に「ラピアクタ」は点滴で投与するタイプで、薬が飲み込めない高齢者などにも使える。

 厚労省感染症情報管理室の中嶋建介室長は「ワクチンを早めに接種して、手洗いやうがい、マスクなど基本的な感染症対策を行ってほしい」と呼びかけている。


明るい話題ではありますね。

なんだか抗生剤と耐性細菌のいたちごっこにも似ています。

抗インフルエンザ薬の作用点はどれもけっこう似ていますから、攻勢剤でMRSAやVREのような多剤耐性の強烈なウイルスも出現しないとは限りません。

最強最悪のアシネトバクターの様なものはそう簡単に出てこない・・・と思いたいです。


ともかく、最終的には日ごろから身体を鍛えて摂生に努めて、免疫力と予備能とを高めておくことが重要です。
  


Posted by norihiro at 11:52Comments(0)感染症

2010年12月19日

ノロウイルスの感染力の強さはハンパないので・・・

心臓と肺に先天性の疾患のある赤ちゃんが病院内でノロウイルスに感染して死んでしまったそうです。

11か月という幼い命を失ったこの子は可哀そうです、ご冥福をお祈りしたいと思います。


ですが、この報道の仕方、病院が悪いかのように書いてありますけど、ノロウイルスの感染力はハンパないですからねえ。

感染を完全に防ごうと思ったらそれこそ全室個室で完全隔離、職員も毎日検査、お見舞いは全面禁止、家族にノロウイルス疑い(下痢・腹痛)が出た職員は出勤停止。

というぐらいにしないと無理でしょうしねえ。


入院中ノロウイルスに感染、乳児が死亡…宮崎

読売新聞 12月19日(日)21時17分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101219-00000549-yom-soci

 宮崎市は19日、同市の宮崎大医学部付属病院に入院していた宮崎県内の生後11か月の女児がノロウイルスに感染し、死亡したと発表した。

 市や病院によると、女児は心臓と肺に重い疾患があり、6月から入院していた。17日に下痢の症状が見られ、便を検査したところノロウイルスが検出された。同日夜に容体が急変し、18日未明に死亡した。

 病院の小児科病棟では4~19日に入院患者7人と病院スタッフら6人が下痢や吐き気などを訴え、患者3人の便からノロウイルスが検出された。病院は、院内感染の疑いもあるとして、18日から入院の受け入れを停止している。

 病院は「現時点では、ノロウイルスの感染と女児の死亡が直接関係しているかどうかは判断できない」としている。


ノロウイルスの感染力の強さを表現する例としておう吐物からの感染の話があります。

ホテルに泊っている人がノロウイルスに感染してホテルの廊下でおう吐してしまい、ホテルの従業員が急いで片付けに来ましたが、片付けに関わった従業員の多くが感染したのみならず、片付けられた後にその廊下を歩いた宿泊客も感染したそうです。

おう吐物を片付けるときには、できるだけ速やかに片付ける。

そしてそのさい、半径3m以内の人は蒸発した水分に乗ってきたノロウイルスを吸いこんで感染する可能性があります。

ですから完全にマスクして手袋して白衣着て、それを洗うときにも注意が必要。


ほんとに、防ぐのは難しい。

亡くなった方には申し訳ないけど、難しいんです。

もちろん常識的な範囲で最善策は尽くすべきだと思いますけどね。
  


Posted by norihiro at 22:33Comments(0)感染症